日本第四紀学会
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だいよんき Q&A

第四紀の開始時期が80万年早まり、8月のIGC会議で新区分が報告される,との報道記事がありました(読売新聞2008年8月6日など)。その後,どうなりましたか。

質問者 : 会社員(大阪府)

 

 今回のオスロでのIGCでは,第四紀の下限についての決定は下されませんでした.


 第四紀の定義および更新世の下限の変更は1985年の更新世の定義以来の課題であり, 2004年IGCの際に公表された地質年代表で表面化しました. この4年間に2004年の地質年代表を見直すための検討が国際層序委員会で行われる一方で, 国際第四紀学連合 (INQUA) は,第四系/紀をPaleogene, Neogene(それぞれ正式の系/紀) に続く正式の系/紀として始まりを259万年前とすること,および, 181万から259万年前の鮮新世Gelasian期を更新世に含めることを2007年大会で公式に決議して国際層序委員会に提案しました. この提案は,国際層序委員会で多数の支持を得て,今回のオスロIGC大会に国際層序委員会と国際第四紀学連合から提案されました. オスロIGC大会では,この提案をもとに正式な手続きと公式の学術論文に基づく最終的な決定にいたる道筋が示され, 議論が開始された段階にあります.


 2008年版の国際層序表には,『第四紀の定義と更新世の再検討について現在議論が行われている. 更新世の始まりはCalabria期の始まり(1.81 Ma)であるが,Gelasian期の始まり(2.59 Ma)まで引き下げられる可能性がある. 従来の第三紀は Paleogene と Neogene を含むが,公式に定義されてはいない.』との注記があります.

http://www.stratigraphy.org/cheu.pdf


 この問題についての論文集(Episodes 31巻2号)がすでに出版されていますが, まもなく下記からダウンロード可能となります.

http://www.episodes.org/backissues.htm

回答者 : 奥村晃史
2008年9月26日掲載


 奥村氏による別の解説記事は「第四紀通信」15巻5号 にも掲載されていますので,あわせて参照ください.

 第四紀学最新情報に、第四紀の定義を掲載しています。 こちらもご覧ください。(2009.6追記)


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