日本第四紀学会
English

 【2023年度
   正会員・賛助会員】
   正会員:886名
   賛助会員:9社

概要

 日本第四紀学会は、国際第四紀学連合(INQUA)の日本支部を母体にして1956年に発足した。地球史の現代といえる時代(約260万年前から現在にいたる第四紀)の自然、環境、人類の研究を通して、現在と近未来の環境を理解するべく、それに関わるさまざまな分野の専門家で構成されている。最近数年間の会員数は1300〜1100名である。発足時から、様々な専門分野の融合的かつ総合的な取り組みによって第四紀学の進展を目指しており、会員の専門分野は、地質、地理、古生物、動物、植物、土壌、人類、考古、地球物理、地球化学、工学などと多岐にわたる。

 このような多元性と学際性は、隣接する分野の研究を理解し、研究者と対話することにより、会員各自の研究と協同研究を大きく発展させるのに役立つものである。これまでいくつかの画期的な研究は、こうした本学会の学際的な環境から生まれてきた。これはとくに若い会員にとっては、研究の幅を拡げ、発展性のあるテーマを選び、方法を学ぶ上できわめて刺激的である。

 本学会は2017年度から5つの領域を中心とした活動に移行することになった。5つの領域は「気候変動及び海洋の諸プロセス」「陸上の諸プロセス」「層序と年代基準」「人類と生物圏」「現代社会に関わる第四紀学」である。研究集会、各種講演会などの事業も、これらの領域と領域の連携によって推進してゆく予定である。

 本学会の主な活動は、年4回(3の倍数月)の学会誌 “第四紀研究” の発行、年6回(偶数月)の広報誌 “第四紀通信” の発行、年1回の大会とシンポジウムの開催、講演会・講習会などの開催である。また、第四紀に関する解説書、一般普及書の出版や、講演会、ホームページなどを通じて第四紀学の普及にも努めている。本学会は、地球惑星科学連合、自然史学会連合の一員として活動しており、地球惑星科学連合大会では、「ヒト−環境系の時系列ダイナミクス」と「活断層と古地震」を主催し、ジオパークをはじめ第四紀学に関連するセッションとの連携・共催を積極的にすすめている。

領域の内容とキーワード

領 域 説 明 キーワード(一例)
領域1:気候変動及び海洋の諸プロセス 気候変動と海水準変動及び海洋変動に重点を置く。グローバルなテーマから局所的な現象まで幅広く扱う。 気候変動,海水準変動,大気循環,海洋循環,氷河・氷床,海洋酸素同位体比,地球軌道変化,海底・海岸の地形と堆積物
領域2:陸上の諸プロセス 地形形成プロセスやテクトニクスなど,地表近傍での現象やメカニズムに重点を置く。 地形発達,古地震,噴火史,構造運動,寒冷地形,湖沼,河川,地下水,土壌
領域3:層序と年代基準 層序や環境変遷などの時間的な変化や同時期における比較,年代測定など時間との関係に重点を置く。 編年,層序,年代測定,対比,広域テフラ,年代指標
領域4:人類と生物圏 気候・環境変動が人類と生物へ及ぼす影響,人類と生物圏・環境の動的相互作用に関係する諸テーマを扱う。 古生態,動物,植物,生物地理,植生変化,環境適応,考古,古人類
領域5:現代社会に関わる第四紀学 現代社会に関わる第四紀学および社会普及に関わる諸テーマを扱う。 地学・地理教育,自然・文化遺産保護,ジオパーク,環境問題,災害,応用地質,工学,地盤,自然改変