日本第四紀学会
English

だいよんき Q&A

昔人はマンモスを狩り食べていたのですか。

質問者 : 小学生(福岡県)

 

 マンモスは、氷河時代(氷期や旧石器時代とも言います)に生きていた絶滅ゾウで、 マンモス・ステップと呼ばれる大変寒い地域に生える草原の草を主な食料としていました。 そのため、10,000年前に氷期が終わり暖かい現世が始まると、北極海沿岸の一部を除いて、 マンモスは各地で絶滅してしまいました。 ですから、シベリアやヨーロッパ、北アメリカに住んでいた旧石器時代の人々が、マンモスを利用していたことになります。

 シベリアやヨーロッパの後期旧石器時代(4〜1万年前)の遺跡からは、マンモスの骨や牙がたくさん見つかっており、 骨・牙で作った装飾品や骨で作った家の跡まで確認されています。 かつては家の材料となるほどたくさんのマンモスを狩猟していたと考えられたことから、 この時代の人はマンモス・ハンターとも呼ばれていましたが、最近の研究で、 これらの骨は湿地や河のよどみのような場所に流水の作用などによって集められた骨の集積場から運ばれてきたものであることが判明しています。 確かに旧石器時代の人々がマンモスを狩っていた証拠もありますが、いつもマンモスばかりを狩猟していたわけではなく、 ウマやトナカイ・ウシなどの動物が主要な狩りの獲物であったようです。 沼地で足を取られたマンモスを発見した時のような偶然の機会に、マンモスを狩猟していたと考えられます。 現在の狩猟採集民の例でも、ゾウ狩りは非常に難しい狩りとされ、日常的な狩猟ではなく勇敢さを示すような儀礼的側面が強いことがわかっていますので、 当時の人々にとっても、マンモス狩りは一層困難な狩りだったでしょう。

 マンモス絶滅の原因については、人の狩り過ぎ (専門的には過剰殺りくと言います)なのか、 それとも自然環境の変化(氷河時代の終了)によるものなのか、現在でも研究者の間では論争が続いていますが、 最近では環境変化によるとする説が有力になりつつあります。

[参考文献]

  • 木村英明 (1985) マンモスを追ってー北海道の夜明けー,一光社.
  • NHKスペシャル「日本人」プロジェクト編 (2001) 日本人はるかな旅 第1巻,
    マンモスハンター、シベリアからの旅立ち, NHK出版.

回答者 : 佐藤宏之
2008年5月12日掲載

* 答えの著作権は、回答者に所属します *