日本第四紀学会
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だいよんき Q&A

第四紀の温暖期に生育するヒメブナ、タイワンブナなどブナ属化石花粉を同定した論文はありますか?

質問者 : 公務員(鳥取県)

 

 中部〜西南日本の第四紀の約40〜50万年前よりも前の地層から産出するブナ属の葉や殻斗の植物化石のほとんどは, 化石種のヒメブナ(Fagus microcarpa Miki)です. 殻斗が小型で葉に鋸歯があるといった形態が現生の植物では中国中部から台湾に分布しているタイワンブナに似ているので, タイワンブナ近似種と呼ばれることがあります. 前,中期更新世からの花粉化石についてこの化石種と現生ブナ属とを明確に区分した論文はありませんが, 下記論文では「山口県徳佐盆地湖成堆積物による約70万年間の植生史を調べていると, ブナ型でもイヌブナ型でもないブナ属の化石花粉が出てくる」と記述され,花粉同定の参考資料として, 現生標本からとったタイワンブナとタケシマブナの走査型電子顕微鏡による花粉形態が記載されています.

三好教夫・崔 基龍・康 *俊(*は示羊という漢字),1991. タイワンブナとタケシマブナの花粉, 日本花粉学会誌,37(2),183-184.

回答者 : 百原 新
2008年1月16日掲載

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