2010 年度研究委員会活動報告
「“地球温暖化問題” を検討する研究委員会(代表:陶野郁雄)
地盤工学会「地球温暖化に及ぼす影響に関する研究委員会」及び環境省「地球温暖化研究プロジェクト」との3機関合同シンポジウムを企画し、
2011年3月18日に日本大学100周年記念国際会議場において開催することとした。しかし、3月11日に東北地方太平洋沖地震と命名されたM=9.0 の巨大地震が発生したため、
急遽延期した。改めて、6月9日に日大文理学部図書館においてシンポジウムを開催した。充分周知できなかったにも拘わらず約50名の参加があり(委員を除く)、
活発な質疑応答がなされた。シンポジウムが終わった後、場所を変えて委員会を開催した。そこでは、主に東日本大震災に関係する問題を抽出し、
どのように対応していくべきかについて約2時間討議した。
また、7月5日に神戸商工会議所で開催された地盤工学会主催のディスカッションセッション「地球温暖化に及ぼす影響と対策」に協力し、
遠藤会長と共に私も座長を務めた。後半には立って聞かれている人も出るほどの盛況であった。4 年後に国際会議開催が決まったことでもあり、
代表者を変えて研究委員会を存続することを熱望する。
古気候変動研究委員会(代表者:公文富士夫)
2010年度には研究委員会としての組織だった活動はできなかったが、
古気候分野の会員の努力によって以下の3つの国際的な研究集会・ワークショップが国内で開催された
また、Japan-PAGES のネットワークを通じてこれらの活動が周知された。
- PAGES1st Asian 2K Workshop in Japan:2010年8月26 〜 27日 名古屋大学(過去2 千年間の詳細な気候変動をアジア地域で解明することを目指したWS。)
- PMIP3 Kyoto Workshop:2010 年12月5 〜 10日 京都ガーデンパレスホテル(気候モデルを用いて過去の復元や将来予測を行う研究者集団の国際的なWS。)
- 2nd Annual Symposium of IGCP-581-Evolution of Asian River Systems:
Tectonics and Climates-:2011年6月11 〜 14日 北海道大学
(気候変動や地殻変動に応答した河川発達についての研究集会。)
東アジアにおける酸素同位体ステージ3 の環境変動と考古学(代表:小野 昭)
このプロジェクトの最後の年度である。成果の取りまとめに力点を置いた。今までの取り組みの主要部分を、 1)Quateranry International 誌に7本の論文として編集をおこない終了した。 2)また、考古学関係で世界的にサーキュレーションのよいBritisch Archaeological Reports( B.A.R.)International Series に本プロジェクト関連の論文を10本組織し、 編集を終了した。日本語による成果の論集刊行の仕事がまだ完了していないが、本プロジェクトは2011年の本大会時をもって終了する。
テフラ・火山研究委員会(代表者:植木岳雪)
テフラ・火山研究委員会は、INQUA International Focus Group on Tephrochronology and Volcanology(INTAV) (INQUA 第17 回ケアンズ大会以降、旧Sub-Commission on Tephrochronology and Volcanism( SCOTAV)を引き継いだ組織)の対応窓口となっている。 テフラ・火山研究委員会の2010 年度の活動としては、同年度の東京大学大気海洋研究所の共同利用研究集会を申請し、 2011年1月11 日〜12日にシンポジウム「日本列島周辺域に分布するテフラのデータベース整備にむけて」(世話人;長岡信治・鈴木毅彦・青木かおり) を東京大学柏キャンパスにて開催した(参加者68名)。11 日は「最近のテフラ研究の動向」として7人から話題提供があった。 12日は午前中に3名の研究者からJAMSTEC で運用されている海底コアや岩石データベース、産総研の活断層データベースについて、 成立までの経緯や運用・メンテナンスに関して話題提供がなされ、午後は4 名の研究者からはそれぞれ火山噴火や火山防災、 テフラに関するデータベースについて紹介があった。さらに、坂本竜彦博士(JAMSTEC)より、 JAMSTECでのテフラデータベースの整備の可能性とそのロードマップについての提案があり、 参加者による公的なテフラのデジタルデータベース構築の可能性と解決すべき問題点について議論した。 本シンポジウムの内容は話題提供者に原稿の執筆を依頼しており、月刊地球の特集号として2011 年度中に出版される予定である。(文責:青木かおり・鈴木毅彦)
古地震・ネオテクトニクス研究委員会(代表者:吾妻 崇)
INQUA のFocus Group on Paleoseismisity and active tectonics の国内対応組織として、同Groupの活動に関連して開催されたワークショップ等の案内を、 メーリングリストを通じて会員に知らせた。2011 年東北地方太平洋沖地震発生後には、この地震による地殻変動や被害に関する情報を収集するとともに、 「第四紀研究」に掲載された津波関連の論文を学会ホームページで紹介した。 また、2011年7月10日(日)に東京大学小柴ホールを会場として緊急シンポジウム「巨大地震を探る− 第四紀学からのアプローチ」を開催した(参加者135 名)。 このシンポジウムでは、地震・津波研究の専門家による招待講演2 件と会員による講演5 件および総合討論を行った。