日本第四紀学会
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2008年度研究委員会活動報告

 2008年度は以下の5 委員会が活動を行った。

地球温暖化問題を検討する研究委員会(代表者:陶野郁雄)

 新たに若い委員を迎え、メールによる情報交換や意見交換を活発に行った。

 会合を開催し、次年度は東京以外でも広報活動を行えるよう準備した。まず、福岡でフォーラムを開催する方向で検討を行った。 2009年6月27日に日本大学文理学部100周年記念国際会議場において第四紀学会シンポジウム「地球温暖化と環境防災」を催した。 また、そのための打ち合わせや準備を行った。

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東アジアにおける酸素同位体ステージ3の環境変動と考古学研究委員会(代表者:小野 昭)

  2007 年度末(2008年6月21・22日)に、日本学術会議ならびに国際第四紀学連合(INQUA) Commission on Palaeoecology and Human Evolution の後援を受け、日本旧石器学会と共催でシンポジウム 「日本列島の旧石器時代遺跡:その分布・年代・環境」を実施した。 それを受けて、2009年2月7日にシンポジウム「東アジアへの新人の拡散とOIS3の日本列島」を開催した。 東アジアへの新人の拡散のパタン、またそれは日本列島への人類の最初の居住問題とどのようにリンクするのか。 40〜30kaの日本列島に残された考古学的な証拠(石器の製作技法、遺構、集落、新しい資源の開発、など) は東アジア世界でみても大きな特色がある。このシンポジウムでは、東アジアへの新人の拡散問題と、関連する考古学的な証拠をレビューし、 それを踏まえて特徴的な事例ならびに人類の活動の舞台である地形面の問題について議論した。趣旨説明、報告5本、討論の組み立てで実施した。

 これに先立って、2009年1月10日には、2月シンポジウムの報告に関する会議をおこない、 あわせてプロジェクト全体の予定の調整と成果をQuaternary International の特集号として準備するための議論をおこなった。

 2009年3月以降7月下旬までの間は、全体の研究集会は実施せず、プロジェクト内での具体的な作業を進めるためにおこなった分担 (日本列島における新人の拡散とモダニティー要素の検討、年代論、OIS3 の海岸線と古地理図、石器編年の課題など) の小グループ内で一定の作業をすることとした。その成果を逐次ワークショップなどで報告する課題は、2009年度の事業として展開する。

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気候変動研究委員会(代表者:公文富士夫)

 横山祐典会員が中心となって、10月3日東大工学部 2号館で、オーストラリア国立大学カート・ランベック教授の 来日と合わせてシンポジウム「氷床変動とグローバルな気候変動」を開催し、ランベック教授の講演とともに、 産総研の斎藤文紀会員、極地研の川村賢二会員、東大の阿部彩子・横山祐典会員の講演があった。 また、「第四紀中・後期の年代的枠組みを理解するためのワークショップ」を、2008年12月25〜26日に信州大学理学部を会場として開催した。 14件の講演と討論会をおこない、年代枠組みについての活発な議論を行った。このほか、公文がPIGSワークショップ(10月2〜4日、 Bernin, France)に参加し、間氷期の気候変動を巡る研究状況を把握してきた。また、IGBP のメーリングリストが立ち上がり、 2009年の地惑連合大会では、中塚 武氏を中心として気候変動をテーマとしたユニオンセッションも組織され、 古気候研究者の交流が大きく前進した。なお、本研究委員会と直接の関わりはないが、 2008年大会の際に気候変動に関するシンポジウムが開催され、その特集号が第四紀研究48巻3号として刊行されたことも、 古気候変動研究の活性化を後押しするものと評価している。

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テフラ・火山研究委員会(代表者:長岡信治)

 2009 年4月9〜12日に国際テフラ・火山研究委会の会場および野外巡検予定地の下見を行った。 会場の国分市との打ち合わせと会場の霧島市市民会館の確認を行った。巡検地は霧島、阿蘇、雲仙の各火山で露頭の確認と宿泊地の選定を行った。 また、7月25日、首都大学東京南大沢キャンパスにおいて「ワークショップ:日本のテフラ研究− Active Tephra 2010 in Kyushu に向けて−」 を開催した。

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古地震・ネオテクトニクス研究委員会(代表者:吾妻 崇)

 2009年秋に開催予定の野外集会(2008年岩手・宮城内陸地震関連)に向けて、資料収集ならびに2009年7月30日に現地の下見を行なった。 収集した資料は、地震後に行なわれた地表地震断層調査とそこでの古地震調査ならびに地震観測結果が中心であり、 その他に地質構造に関係した既存文献等を整理した。

 なお、2009年2月16〜23日にINQUA Focus Group on Paleoseismology によってイスラエルの死海でInternational Workshop and Field Trip "The Dead Sea Rift as a natural laboratory for earthquake behavior: prehistorical, historical and recent seismicity" が開催され、国内から当委員会の奥村晃史委員と太田陽子委員が参加した。

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