日本第四紀学会
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日本第四紀学会 2008年大会シンポジウム『第四紀後期の気候変動と地球システムの挙動 −その原因とメカニズムの解明に向けて−』

[ 開催日 ] 2008年8月24日(日)9時00分-17時30分

[ 場 所 ] 東京大学本郷キャンパス理学部1号館小柴ホール
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_00_25_j.html

[ 主 催 ] 日本第四紀学会

[ 後 援 ] 大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立極地研究所

[ 世話人 ] 三浦英樹(極地研)、横山祐典(東京大)、川村賢二(極地研)

[ 参加費 ] 参加費無料 事前申込不要(大会への参加は2000円が必要です)

*総合討論(1700-1730)でのコメントも募集しています.詳しくは,文末をご覧下さい.


シンポジウムの趣旨と目的

 このシンポジウムでは,世界各地の地形地質や海底堆積物, アイスコア試料に残された第四紀後期(主として最終間氷期以降)のオービタルスケールおよび千年スケールの気候変動の記録・証拠を示し, 変動が生じた地域間,現象間の因果関係・相互関係や, それらの変動がなぜ生じたのかという原因論の研究についての最近の研究状況について紹介し,以下の点について,議論し, 理解を深めることを目的とします。

  1. 第四紀後期に認められるグローバルな気候変動(オービタルスケールおよび千年スケール)のメカニズムに関する主要な研究の中で, わかっていることとわかっていないこと,いま考えられていることはどういうことなのか.
  2. グローバルな気候変動記録の中で日本周辺や東アジアの古気候・古環境変動の記録はどのように位置づけられ, なぜ,どのようにして日本周辺や東アジアの変動が生じてきたと考えられているのか.
  3. グローバルな気候変動の研究は,予算的にも個人レベルで行うよりも南極観測事業やIODPのような国家レベルの大型研究を必要とする場合が多いが, これらの既存の事業を学会あるいは日本の古環境研究コミュニティとしてどのように活用し, 不足している調査や試料・データの取得を戦略的に進め,さらに、それらの成果を国内の研究、地域研究にフィードバックしてゆくべきか.

プログラム

0900-0910趣旨説明
三浦英樹(極地研)、横山祐典(東京大)、川村賢二(極地研)
0910-1000氷床コアから探る第四紀の地球システム変動
川村賢二(極地研)
1000-1040第四紀後期の南大洋における海洋フロント南北振動と南極氷床変動史
池原 実(高知大)
1040-1050(休憩)
1050-1130西南極氷床の完新世における融解
大河内直彦(海洋研究開発機構)、横山祐典・小泉真認(東京大)、 三浦英樹(極地研)、豊田倫子・徳山英一(東京大)、力石嘉人・菅寿美・北里洋(海洋研究開発機構)、 TimothyI. Eglinton(米国・ウッズホール海洋研)
1130-1210二酸化炭素倍増実験と最終氷期極大期実験における気候フィードバック解析
吉森正和・阿部彩子(東京大)、横畠徳太(環境研)
1210-1310(昼休み)
1310-1350風送塵の地球環境に与える影響−−氷期・間氷期,完新世,現代−−
川幡穂高(東京大)
1350-1430北西太平洋海底堆積物に記録された表層環境〜中層循環の1000年スケール変動
原田尚美・木元克典・岡崎裕典・長島佳菜(海洋研究開発機構)、Axel Timmermann(ハワイ大)、阿部彩子(東京大)
1430-1515北西太平洋とその縁辺域の氷期間氷期変動
山本正伸(北海道大)
1515-1525(休憩)
1525-1610深海堆積物コアに記録されたモンスーン変動
横山祐典・堀池智之・成瀬竜洋(東京大)、 坂井三郎・小川奈々子・大河内直彦・北里洋(海洋研究開発機構)、川幡穂高(東京大)、チェン ミンテ(台湾海洋大)
1610-1700大型プロジェクト時代の湖成堆積物研究
中川 毅(英国・ニューカッスル大)
1700-1730総合討論

[問合せ先]国立極地研究所 三浦英樹
      電話:03-3962-8095 Email: miura@nipr.ac.jp

総合討論でのコメント募集

 このシンポジウムの主な講演は、世界各地の氷床、 深海底堆積物コア研究から明らかにされた最終間氷期以降の環境変動の記録と原因に関する研究が中心となっていますが、 シンポジウムの3つの目的のうちのひとつとして、 グローバ ルな環境変動(その原因や地域・現象間の相互関係・フィードバックメカニズムについての考え方)の中で、 東アジアに位置する日本という地域の位置づけを改めて考え、<事実の集積>段階から<原因の考察>段階へ進める契機にしたい、 と考えています。

 コア研究に比べると、記録は断片的で時間解像度も低いとはいえ、これまでに蓄積されてきた国内(陸上)の地形学的、 土壌学的、古生物学的、考古学的研究は、重要な地域の環境変動の記録と個性を示すものです。 これまでの国内の研究成果から、例えば、以下のような問題が浮かびます。

  • 日本国内の山岳氷河が酸素同位体ステージ2よりも4で発達した原因は何か?
  • 最終間氷期以降の日本国内における扇状地、 河成段丘の酸素同位体ステージによる変遷とその地理的な分布の違いの原因は何か?
  • 最終間氷期以降の日本国内の古植生、古生物、古土壌、 人類遺跡の変遷の内容とその地理的な分布の違いの原因は何か?

 シンポジウムの総合討論では、時間は限られますが、 日本国内の古環境研究の成果と意義をグローバルな環境変動研究の視点から改めて見直して、 国内で次に何をすべきかを議論して記録に残したいと考えています。 意味のあるコメントは特集号の中に依頼原稿として含めたいとも考えています。 上記の点にご興味をお持ちの、国内をフィールドとする古環境変動の研究者、関係者の皆様も是非ふるってご参加いただき、 コメントをお寄せ下さい。

 当日の飛び入りも歓迎いたしますが、 国内の古環境変動の原因に関するコメントやこのシンポジウムに関連するポスター展示のご希望や予定がある方は、 事前に、上記世話人の三浦までご一報いただけると幸いです。

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