日本第四紀学会
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会長挨拶

 第四紀とは、現在を含めた最近約260万年間の時代をさします。長い地球の歴史のなかではほんの一瞬の時間に過ぎません。しかし、地形、気候、動植物、人類などが現在みられる姿となった時代であり、我々人類にとりきわめて身近な過去です。この時代の様々なできごとを探求するのが第四紀学であり、その特徴は、過去のできごとや現在の自然環境を理解するだけではなく、人類の動向も含めた地球の将来予測もめざすことです。日本第四紀学会はこのような第四紀学に関心をもつ人々が自身の研究成果を公開し、その科学的妥当性を開かれた環境で討論する場です。1956年4月29日に発足し、現在約1000名の会員からなります。会員の関心は、自然科学や人文科学に関する各種テーマ、自然災害や環境問題、科学と人間社会の関わりなど多岐にわたります。

 第四紀学は、現在人類が直面する地球温暖化をはじめ、地震・津波・火山噴火・洪水などの自然現象に起因する災害など、数多くの問題も研究対象としています。これらは自然と人間の実態を理解してはじめて解決できるものであり、自然と人間を理解しようとする観点の第四紀学の重要性は益々高まっていると理解しています。

 日本第四紀学会では、現在5つの領域である「気候変動及び海洋の諸プロセス」「陸上の諸プロセス」「層序と年代基準」「人類と生物圏」「現代社会に関わる第四紀学」というテーマのもとに活動を進めています。学会全体の会合の場である大会の開催や学会誌『第四紀研究』の発行をはじめ、各種の研究集会・講演会などの事業は、これらの領域と領域の連携によって推進しています。ご興味、ご関心をお持ちでしたら、ぜひ私たちの活動にご参加ください。

 皆様のご支援とご協力をお願い申し上げます。

2021年9月
日本第四紀学会会長
鈴木 毅彦